原 猛也(高23回)
敵を知り・・・
大学を受験したのはだいぶ昔のことであるので、拙文が後輩諸君の大学受験の役に立つかどうかは保証の限りではない。まあ、北大水産くらいならば入れるだろう。
さて、孫子の兵法「知彼知己、百戰不殆(敵を知り己を知れば百戦危うからず)」は、良くしられているけれど、では、具体的にはどうしたら良いのか?
「敵を知る」方法は、過去問を入手しそれを解くのである。これをやる時期が重要で、あまり早い時期にこれをやると、解けない。解けないとコンプレックスばかりが募るので良くない。
2年生の時にちょっと試しにやって「解けないのは当たり前、3年になったら解ける」と思えば良い。3年生の2学期が終わるころになれば自然に解けるものだ。入試直前になっても解けなかったら「全く同じ問題は出ないから大丈夫」と思えば良い。
過去問は必ず解いてみて
過去問は、たくさん解くより丁寧さを優先する。全科目やる。時間がなければ1年分でも良い。出題の癖がなんとなく分かると、安心感が得られる。そんなに捻った問題はどこの大学でも出ない。結構基礎的ないい問題が多いはず。
余談だが、将来、公務員や資格試験などを受けることがあろう。仕事柄それらの問題を作っている人を何人も知ったが、6割は過去問そのもの、2割はそれを捻(ひね)った問題、残りの2割は新たになされた法改正を聞く問題。7割で合格なので過去問プラスアルファで合格する。
己を知る・・・
模試の成績で自分を知る。科目の得手不得手が分かる。別の視点もある。抽象思考が得意か実学思考か。自分はどちらのタイプか知ると良いことがある。
私は算数(実学)が得意で、数学(抽象的思考)はあまり得意じゃない。数学では、順列組み合わせが不得意であった。赤い球を袋から取り出し・・・なんじゃこれは?そんなこと現実にはやらない。
が、3年生になって確率統計をやったら、順列と確率は逆数の関係なのでスラスラ解けた。確率はトランプなどゲームの勝率に関係するので直感的にわかるのである。
化学も不得意であったが、「科学実験ノート」という手作りのサブテキストがあってこれは面白かった。実験は実際何に使われるのか想像しやすい。炎色反応は花火だし、有機合成で繊維ができるなどである。
勉強はいやいややっても身につかない。面白いと思うきっかけがあれば苦手な科目は少なくなるはずである。自分の面白いと思う思考パターンに合わせた勉強法を身に着けて損はない。
不得意科目の底上げ
昔から、国立大は英数国理社5科目から出題される。父は長年、原町高校で受験指導をしてきた。国立は不得意科目がないオールラウンダーが合格しやすい。父は6~7割取れる科目を7~8割に上げるよりも、3~4割しか取れない科目を4~5割にする方が良いと言う。不得手な科目は普段やらないだけなのでやれば点が稼げる。
参考書は分厚く、問題集は薄く
故あって、私は浪人した。世界史(4問)、政経(2問)は得意だったので2問ぐらいは解けるだろう。そこでせっかく浪人したのだから、日本史4問の内2問で正解を取ろうと決めた。
6問中4問取れれば7割近く取れる。分厚い参考書と一番薄い問題集をそれぞれ1冊買った。薄いと全問やれるので達成感が得られるし、薄いので大事なことだけが載っている。
教科書を単元ごとに読んで、問題集を解く。間違いを教科書、参考書で調べ理解する。その繰り返しで、単元一つ一つをしらみつぶしにした。参考書は全部読まない。間違えた部分だけ読む。時間が節約できる。
古代から始めて奈良、平安、鎌倉時代の仏教史のところで時間が切れた。しかし、そこまでの問題は全て解ける自信が付いていた。
自信をもって授業を受ける
相馬高校は、地方のエリート校である。当時は「学校の授業をちゃんとやっていれば、特別な受験勉強などしなくてもちゃんと入れる」といった受験指導であった。
2年生になったころ、自分はクラス2番であった。クラスの2番が理解できない授業などあり得ないと思い立ち、理解できないところは授業中にしつこく質問した。自分が分かるまで授業は次に進ませないぞと。
毎年、学年で4~5人は東北大(帝大)に入っていた。が、現役で入ったのは、私のクラス1番で学年1番の彼1人であった。授業だけで受かるなんてことは信じないほうがいい。
やっぱり受験勉強を「ちゃんと」やる
私は学年3番で卒業し、現役の時は北大を落ちて山形の農学部は受かった。山大は他に2人合格した。山大の試験はめちゃくちゃ簡単であった。多分、学年50番ぐらいでも入れると思った(受かった彼らの順位のことではない、念のため)。結局、山大には行かなかった。農業より水産をやりたかった。
私は学年順位が高かったので、よもや自分が東北大よりも偏差値の低い北大に落ちるとは思っていなかった。ストレートで入れば、その年は札幌オリンピックがある。バイトをしながら競技が見られる。そのためには、英会話が出来なければならない。
かように考え、旺文社の「大学受験講座」をラジオで聞いているふりをしながら、実際に聞いていたのは「百万人の英会話」の方であった。すなわち、現役の時は「ちゃんと」受験勉強してなかった。
言い訳はすべて2割に織り込み済む
落ちたのは受験当日に風邪を引いたのもある。が、それはマイナス要因のほんの一部だと思う。風邪を引いても受からないといけない。
試験中、頭がガンガン痛くても、廊下で浪人組が吸うたばこの煙がモクモクしていても、スチーム暖房のパイプがきしむ音がしつこくカンカンカンカン耳に響いても、君は受からなければいけない。
それに、飛行機が初めて、宿で眠れなかった、都会に慣れていなくて道に迷うなど、いろいろなアクシデントがあって、実力は必ず2割減になる。
田舎者は、大学に入ってから伸びるとよく言われるのは、入るときに実力2割減になるハンデがある証左であると考えて、実力2割増しを目指してください。
体力も必要だ。浪人してから雨でなければ気分転換を兼ねて毎晩2㎞ぐらいは走った。大学に入ってすぐにボート部に入ったけれどランニングが苦にならなかったのは、このおかげだろう。
最後には、普段の授業が支えてくれるから大丈夫だよ
諸君は、克己の鞭を奮って「ちゃんと」受験勉強をして下さいね。計画通りに勉強できなくても、最後は「ちゃんと」普段の授業が支えてくれるから大丈夫。相高という普段にハイレベルな学校で勉強したのだから大丈夫。
相高を信じて、先生を信じて、自分を信じて。楽しみながら「ちゃんと」努力してくださいね。
北大がどんな楽しいところか、そこで学んだことが、その後の人生にどんなに役に立ったことか。それについてはまたの機会に。
武運長久を祈る。 了
